ハウトゥ・シナプス
はーはー、と肩で息をしていた喜一がやっと落ち着いて、咳払いをひとつ。
相変わらず空の色はあまり変わらなくて、その中で変わったものと言えば私たちの表情と心情だけ。
「それ全部言いに来たのか。今日」
「あんまり考えてなかった。……ただ、会いに来たんです」
「……っとに自己中女だなテメェは」
ケッ、と悪態をこぼして喜一は首の後ろをかいた。何か考えてるようだ。
非常識なことをしてるのは分かってますってば。
でもそれだけ。会いに来てみただけ。その先も何も考えてなかった。話す気だって、最初はなかった。
たぶん、これでおわり。
「それじゃあ私は自分の高校に戻る。退院したばっかりだから、あんまりいないと心配かけるだろうし」
「おいコラ梓」
よし、じゃあサヨナラ。
……と立ち上がって、って、そう簡単にいくわけないと思ってたけど。思い切り罵られて貶される覚悟は、できてたけど。
本日何度目かのため息のあと、喜一も立ち上がった。
「もうお前の思い通りにはさせねえ」
ガラ悪くブレザーのポケットに両手つっこんで、見下ろして、睨みつけられるほどの眼力で、言い放たれた。