こちら、私の彼氏です
そして、お巡りさんは伊山の方を見て。
「すみませんが……この女性との関係は?」
「え?」
「最近、暗がりをひとりで歩く女性を狙った婦女暴行事件などが流行っていまして……少しお話を……」
「ちっ、違いますよ!」
さすがの伊山も、少し焦りだす。
「俺はこいつの彼氏です! ちょっとふざけてこういうことしてたら、手錠の鍵を落としてしまいまして……!」
「でも先ほど、こちらの女性の大きな声が聞こえたものですから……」
「それは俺が鍵を落としたからであって……! ちょ、福島もなんか言えよ!」
……仕事でどんなに忙しくても決して慌てず、いつも冷静な伊山のこんな姿を見るのは珍しくて、なんかかわいいなとも思ってしまって。
だから、もう少しこの姿を見てたいという気持ちもあったのだけれど、さすがにお巡りさんの前でこれ以上はかわいそうだと思い、私はやれやれと思いながら、お巡りさんにこう言うのだった。
「そうです。間違いありません。こちら、私の彼氏です」
……出会った頃に始まりかけた小さな恋は、一度はその姿をさらに小さくしてしまったけれど、いつしかまた膨らんで、どんどん大きくなって。つぼみが花開いたような、そんな感覚で。
そして、
この気持ちに、ずっとふたりで水を与えていきたいと思う。
とはいえ、右手にかけられたこの手錠を見ると、ドラマや映画みたいにドラマティックで誰もが憧れる恋愛……にはきっとほど遠く、なにやってんだ、と周りからツッコミを受けるような恋愛をしていくんだろうな……とは思うけど。
それでも。
「大好きな人です」
となりにいてくれれば、それだけでいいって。
これからは、ちゃんと素直に伝えていこう。もうすれ違わないように。
……ちなみに側溝に落ちた鍵は、伊山とお巡りさんのふたりがかりでなんとかふたを持ち上げた隙に、私がドブの中に片手を突っ込み鍵を拾い上げたのだった。
「ほんと、伊山最低」
「悪かったって」
「大嫌い」
「べつにいいけど。お前が素直じゃないって、わかってるから」
「……ふんだ」
…End…
「すみませんが……この女性との関係は?」
「え?」
「最近、暗がりをひとりで歩く女性を狙った婦女暴行事件などが流行っていまして……少しお話を……」
「ちっ、違いますよ!」
さすがの伊山も、少し焦りだす。
「俺はこいつの彼氏です! ちょっとふざけてこういうことしてたら、手錠の鍵を落としてしまいまして……!」
「でも先ほど、こちらの女性の大きな声が聞こえたものですから……」
「それは俺が鍵を落としたからであって……! ちょ、福島もなんか言えよ!」
……仕事でどんなに忙しくても決して慌てず、いつも冷静な伊山のこんな姿を見るのは珍しくて、なんかかわいいなとも思ってしまって。
だから、もう少しこの姿を見てたいという気持ちもあったのだけれど、さすがにお巡りさんの前でこれ以上はかわいそうだと思い、私はやれやれと思いながら、お巡りさんにこう言うのだった。
「そうです。間違いありません。こちら、私の彼氏です」
……出会った頃に始まりかけた小さな恋は、一度はその姿をさらに小さくしてしまったけれど、いつしかまた膨らんで、どんどん大きくなって。つぼみが花開いたような、そんな感覚で。
そして、
この気持ちに、ずっとふたりで水を与えていきたいと思う。
とはいえ、右手にかけられたこの手錠を見ると、ドラマや映画みたいにドラマティックで誰もが憧れる恋愛……にはきっとほど遠く、なにやってんだ、と周りからツッコミを受けるような恋愛をしていくんだろうな……とは思うけど。
それでも。
「大好きな人です」
となりにいてくれれば、それだけでいいって。
これからは、ちゃんと素直に伝えていこう。もうすれ違わないように。
……ちなみに側溝に落ちた鍵は、伊山とお巡りさんのふたりがかりでなんとかふたを持ち上げた隙に、私がドブの中に片手を突っ込み鍵を拾い上げたのだった。
「ほんと、伊山最低」
「悪かったって」
「大嫌い」
「べつにいいけど。お前が素直じゃないって、わかってるから」
「……ふんだ」
…End…


