真っ白のラブレター

穂風はまだ家に帰っていなかった。

向かったのは、河川敷なのだろうか。
この辺で犬の散歩に行くなら、そこしない。
だんだん雨が激しくなり、視界も見えにくくなる中、小走りに歩いて行くと、前方に人影が見える。


「おーい、穂風か?」


レインコートをすっぽり被った、小柄な人影がくるりと振り返った。

降りしきる雨の中、目を凝らすと、懐中電灯を手にした穂風が立っている。


「歩じゃない。どうしたの?」

「どうしたのじゃないだろ。今、おまえんちに電話したら、出掛けたって聞いたから」

「スタンプが、いなくなっちゃったの」


風にかき消されないように、穂風は大声で答える。
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