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午後一の授業を終え教室から出ると
新の姿があった。

「あー先生。おはよ」

柔らかそうな栗色の髪に寝癖がついている。

「おはようって、もう昼だよ。飲んでたの?」

「心外だな。エミール・クストリッツァの作品集観てたら、夢中になって気づいたら朝だったの」

「えっ?!クストリッツァ!いいな!」

「先生も好きなの?」

新は目を輝かせている。

「先生、今度一緒に観る?飲み行く?あ、お茶する?」

「はいはい。成人したらね」

といつものように流し歩き出すと
新は後を追ってきた

「先生さぁ、28に見えないよね」

「何それ」

「かわいいってこと」

「からかわないでよ」

「めっちゃタイプなんだって」

今日の新はいつも以上に押しが強い。

「からかわないで。それに瀬名くんのほうがずっとかわいいよ」

そう言うと、新は立ち止まり
それ以上ついてこなくなった。

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