film
70インチの大画面のテレビで
彼はゲームをしている。
今日もいつものように呼び出された。
「めずらしいね、ゲームするなんて」
「めったにしないよ。仕事が煮詰まってるって言ったら、スタッフの子が持ってきたの」
めったにしないと言うように、
彼のゲームさばきはぎこちなく、
敵を倒すどころか何度も自爆を繰り返している。
「ちょっと飲み物とってくるから、代わりにやってて」
とコントローラーを私に渡し
キッチンへ行ってしまった。
「え?なんかコントローラー振動する!どうしたらいいの?!」
罠を仕掛け、家を爆破し、車を盗み、人を殺すという無茶苦茶なゲーム。
「髪、まだ切ってないね」
戻ってきた彼は私の髪に触れ残念がった。
「まだ休みじゃないから」
「そっか。早く見たいよ。僕の好みの女性になって、満たして」
彼は私を引き寄せる。
「おいで」