film
私が健吾に会えたのはだいぶ時間が経ってからだった。


彼はクイーンサイズのベッドの上で、タバコに火を点け
天井を見つめている。

「疲れた。ほんとに疲れたよーーー」

大きく伸びをし、そのまま右手で
私の髪を触った。

「ねぇ、茉美ちゃん」

「ん?」

「今度コスプレして僕を癒してよ」

まだ服を着ていない彼のお腹が
冷えないようにと
ブランケットを掛けている手が止まった

「え?なんの?」

「うーん、なんでもいい。
女子高生とか?茉美ちゃんまだいけるよ」

いたずらを思いついたように笑う。


「お風呂はいろ」
タバコをくわえたまま、私の手を引いてバスルームへ向かった。


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