姉弟ごっこ
という推論が、頭に浮かんだ。

もしかしたら芽衣子も、哲史が自分を好きだと勘づいていて。
それで適齢期になって独り身の私と、可愛いけど恋愛対象じゃない哲史がくっ付いてくれたら丸く収まる、とか思って変な気を回してるんじゃ?

そうはいくか。

「同居してみて気づいたんだけど、哲史ってさ、すっごく変なんだよ!ていうかたぶんバカだよアイツ」
「今更なに言ってんのよ、昔から変な奴じゃない。甲子園かってくらい砂場の砂かき集めて大事にしてさぁ、中学生くらいまで砂場で遊んでたよね!バカよねぇ」
「そ、そうねぇ」

だけど、芽衣子は知らないと思う。アイツがとんだセクハラ下ネタ野郎に成り下がっていることを。

芽衣子の前で本当のことを言うのは酷のような気もしたので、私は黙った。黙って、ピザをむしゃむしゃ食った。

「哲史、あのベンチ持ってったでしょ?」

テーブルに頬杖を付いた芽衣子は、もう酔いが回ってきたのか虚ろな目をうっとりと細めた。

「ベンチね、うん。あるよ、今、リビングにね。ありますよ」

なんでもお見通しなんだな、と思って、私はグラスビールをぐいぐい煽る。

「あのベンチさ、前にインテリア雑誌に掲載されたことがあったんだよ」
「え、そうなの?公園とかにありそうな普通のベンチだけど」
「そう?テラスに置いたら素敵じゃない。お洒落でアンティークなデザインが人気でね、商品化して欲しいっていう声が相次いでて、」
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