姉弟ごっこ
「遅かれ早かれ、俺はこうなると思ってたよ」

と、ようやく哲史が口を割ったのは、電車を降りてうちまで歩く数分の狭間。

「芽衣子から聞いたの?」

隠れ家レストランでの芽衣子からの忠告に、私は心底膝を打つ思いだった。なんだかすっかり夢から覚めた感覚。

だから、久島さんに彼女がいることを知ってた芽衣子が、哲史にチクったんだと予測したんだけど。

「違うよ」

街灯が乏しい暗い夜道で、哲史は声を低く響かせた。

「芽衣子の結婚式で、あの公務員が友達っぽい集団に自慢気に話してるのをたまたま聞いたんだ」

私は哲史の言葉をもっとよく聞くために、急いで半歩分の距離を縮める。

「女なんてプレゼント渡して機嫌とっとけば、誰でもほいほいヤらせてくれるって。この結婚式でも必ず一人落としてみせる、って」

言い辛そうに、口ごもらせた哲史は最後に舌打ちをした。

『大したものじゃないけど、まひるちゃんが気に入ってくれたら嬉しい』

そっか、そうなのか。
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