姉弟ごっこ
そういう魂胆だったのか。

だったら厄除けじゃなくて、願掛けの間違いだね。こいつがセフレになりますように、ってさ。
だけど結婚式で友達に大見栄切ったのに、思い通りにいかなくて残念だったね。

『無理に、とは言わないけど。俺もっと、まひるちゃんと一緒にいたいなって思って』

私だけが、バカみたいにその言葉に騙されて浮かれて。
勘違いして、舞い上がって。

笑っちゃうよ。
だって、救いようないじゃん。いい歳して。恥ずかしい。

「……っ」
「おいおい泣くなよ~」

降参したような声で、哲史は足を止めた私の顔を窺い込んだ。

「な、泣いてないし」
「そ?じゃあそれはアレね、鼻水ね、風邪引いてんのネ。汚っねぇなぁ」

ひぃーとか言いながら、別に頼んでもないのに哲史は私の頬を伝う鼻水?を指先で掬った。

ずっとそこで強がりを押し通すわけにもいかないので、私は呼吸が楽になってきた頃に再び歩き出しアパートに帰った。
すぐにビールを飲もう!と思い冷蔵庫を開けたところ、「温かい飲み物淹れてやるよ」と哲史が言った。

哲史はコーヒーを淹れてくれた。その際に使用したコーヒーメーカーは、芽衣子がここに住んでたときに使っていたものだった。
私はあまりコーヒーを飲まないので、置いていかれても埃を被る寸前だったが、同様に芽衣子が残していった粉やペーパーフィルターを使い哲史が手際よく淹れた。
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