ダントツ!!16番人気の翔馬くん 2ndステージ
『そういえば俺…アイツのこと、名前で呼んだことなかったっけ…』


『そうだな。』


俺は翔馬を見つめながら柔らかく微笑んだ。


『アイツさ、やっぱ…名前で呼んで欲しいかったかな?』


『きっと、な…。』


『じゃあ…』


『あぁ、呼んでやれ。“好き”とか“愛してる”とか、そんなこと言わなくていいから…。せめて名前ぐらい呼んでやれ。』


俺は翔馬を抱きしめながらポンポンと背中を叩いた。


『それだけで今のお前の気持ち、じゅうぶん如月に伝わると思うぞ。』


『うん。ありがとう、大和。』


翔馬は俺に抱きつきながら小さく呟いた。


ほんと、良かった良かった。


翔馬も元気になったことだし、俺も今日は早めに仕事切り上げてさくらと…って、


『あっ!!』


『ん?』


俺は小さく声をあげた。

< 53 / 77 >

この作品をシェア

pagetop