悪魔な彼が愛を囁くとき
悪魔と一緒なら地獄も恐くありません

囁いた瞬間、一気にベットに押し倒されていた。

じんが嬉しそうに笑みを携え、のしかかる心地よい重み。

彼がマットに片手をつき、もう片方の手が顔を隠していた髪を指先で払う仕草をただ見ていた私。

お互い視線を絡ませ、自然と重なる唇。

初めは優しく唇を堪能するように優しく触れて、突然荒々しく貪るキスに夢中にさせられ、呼吸するタイミングも与えられずに口内にすんなり進入してくる男の温かな熱に翻弄され舌先を絡め意識がふわっと飛ぶ感覚が心地よく、もっと、もっとと求めてしまう。

それなのに、意地悪く離れていく唇。

離したくなくて彼の後頭部を押さえキスをせがんでいる自分がいた。

「……ゃだ…もっと‥して」

「……フッ‥ずいぶん積極的だな…最初だから時間をかけて体に覚えさせようと思ったがやめだ。キスだけでこんな蕩けた顔をして、そんな可愛い声で甘えられたら俺の理性が飛んだ。手加減しないからな…」

妙に色気のある笑みは妖艶で、そして恐ろしくもあった。

「ウッ‥そ……」

か細い声で抵抗しても既に遅く、塞がれた唇は甘く疼きだす。

先ほどのキスより激しく、ゆるむ唇の端からだらしなく顎を伝う淫らな液体。
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