最果てでもお約束。
恥ずかしい事言って思い出して赤くなろう。
「こうは本当に面白いねぇ。ちょっと捩れて歪んだ人だと思っていたけれど」
くつくつと笑いながらこっちを向く。丁度目が合った。
げげ、ぼくとした事がいつの間にかアキラの背中を見ながら話していたらしい。
急いで天井に向きを変えると、それも面白かったらしいアキラの口からまた忍び笑いが漏れる。
「面白い人とか、もっと旅で出会ったろ」
「いたいたー!もうすっごいの。こうも会ったらびっくりするよ。絶対」
いつの間にか夜は更けていて、時計の針はまっすぐ頂点で重なっている。
けれど夜はまだまだこれからだと言わんばかりにアキラは楽しそうに話した。
旅先で会った面白い人。面白かった人。悲しかった事。辛かった事。
満天の夜空を見ながら悟った事。コンクリートで空が見えなかった街の事。
危ない事。感動した事。
合間合間に他愛も無い事も話した。
願いが3つ叶うなら何にするとか、世界一周がしたいかとか名前の由来だとか。
その内アキラは目をこすり、欠伸を漏らし、時計の針が3時を指す頃、日本海の凄さを説明しながら軽い寝息を立て始めた。
「やっと寝たか」
溜め息は出るけれど、別に疲れてはいない。アキラの話しは、町からほとんど出ないぼくにも楽しく、また辛い話や悲しい話にはアキラ独特の感情が乗っていて、聞いていてじんわりと来た。
見ると眠る寸前までギャーギャーと騒いでいたので、アキラはタオルケットを足元に蹴り飛ばしていた。
「はぁ・・・そこまで似なくても・・・」
ゆうもよく布団を蹴り飛ばしては風邪を引いていたのを思い出した。
そして、その布団を掛け直すのは、ぼくの役目だ。
そっと肩までタオルケットを掛けてやるとアキラはそれを掴んで頭まで被った。
「ガキめ」
本当に、小さな子供みたいだ。
役目が終わったのでソファベッドに戻って天井を見上げる。
あぁここが満天の星の下なら良かったのに。
ゆう、お前とだけした天体観測な、今度はこいつも仲間に入れてやろうぜ。
きっと文句を言いながら、それでも了承するゆうの顔を瞼の裏に思い描きながら、ぼくもゆっくりと眠りに落ちた。あぁ、今日は多分1年で1番大変だった日だと、ヘボイ読みをして。
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