最果てでもお約束。
破壊の思ひ出。
ぼくとゆうが丁度20歳になった年、”南”から男と少女がこの町に侵入した。
ぼくは相変わらずコンビニのバイト。
ゆうはやっと右手のリハビリが終わり、また勉強を再開していた。
ちょうど夕飯時。
ゆうのリハビリに協力する為にゆうの家に転がり込んでいたぼくは、夕飯の買出し先で侵入者の話を聞いた。
侵入者と勘違いされ、リハビリする破目になったゆうを思い出して胸が痛む。
その程度だった。
買出しを終わり、ゆうの家に帰宅。もう暗くなり始めている空を見ながら、ゆうが家にいない事を少し心配していた。
いつもなら町の図書館が閉館するとまっすぐに家に帰って、テレビでも見ながらくつろいでいるはずだったのに。
嫌な予感はしていた。
そこに一本の電話。
ぼくは電話の話を最後まで聞かずに外に飛び出した。

『ゆうが侵入者の男を始末したチーム3人を殺して逃亡中』

意味が解らなかった。
けれど、会えば、話せば解ると思った。
だからぼくは必死で駆けたんだ。
唯一の心当たり、あの暗い暗い山に向かって。

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