最果てでもお約束。
ゲームで遊ぶのに飽きると、ぼく達は外に出る事にする。
その頃にはすっかり夕日も傾き始め、そとは茜色の世界。
ゆうの事は今までに会った事の無いタイプだったけれど、感じは掴めてきていた。
「外に遊びに行こう」
「・・・・・・・・」
返事は無い。自分でモノを決めかねている顔。
「大丈夫、遠くにも行かないし、走ったり飛んだりしない。散歩みたいなもんだよ。だめ?」
「・・・・・ん」
ゆっくり立ち上がる。ゆうはぼくが転校してくる前に友達だった奴等とは違ってとても無口だった。自分では意見を言わず、言われた事に同意する時だけ短く「ん」と返事をするタイプ。
ぼく達は住んでいるマンションから出て、自転車置き場に向かった。
「自転車で行くの?」
「ん?遠くは行かないけど、ちょっと走ってみようぜ」
「・・・・・・・・・」
拒絶。なら、ちょっと方向を変えて。
「ゆうの自転車見せてよ」
「・・・・・・・・・」
またも拒絶。体の前で手をもじもじとさせて、恥ずかしそうに下を向いた。
「あれ・・・もしかして持ってない?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・ん」
小さくこくんとうなずいた。
「えーと・・・じゃあ・・・乗れない?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん」
随分と長くもじもじした後、小さく小さくうなずく。
ぼくはびっくりした。転校してくる前の奴等はみんな自転車を持っていたし、同年代の子はみんな補助輪すら卒業していたからだ。
「ほぉ・・・じゃあさ、後ろに乗ってみる?」
「・・・!!!」
ぶんぶんぶんと首を横に振る。超拒絶。
「なーんでだよ」
「駄目だよ。校則でも決まってるし・・・」
まぁ確かに二人乗りは禁止されている。それは子供の世界でも大人の世界でも一緒。
でも、転校してくる前はそれこそ日常茶飯事にその違反をしていたのだ。
「ははーん、わかった。怖いんだろ?」
ちょっと挑発してみる事にする。
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