最果てでもお約束。
どこの方言だそりゃ。
「なんでかってお前そりゃ・・・」
なんででしょう?
「友達でも無いし親戚でも無い。ましてやオレがかーわいい女の子でも無い。視線からその気を感じる事も無し。んでもちろんオレには金が無い。さぁ」
両肩をすくめて見せる。演劇でもやってたかのように様になる。
「うーん・・・なんだろうな」
イメージは青。出会ったときあまりにも空が青かったからだろう。
イメージは海。出会ったときあまりにも色が青かったからだろう。
その二つの奥、または南には・・・
「もしかして、友達に似てた?」
「いや、似てないよ」
即答。同じような事を思っていた。けれど、あいつとアキラはまったく似ていない。
病弱そうで弱弱しいあいつと、自称中級ヒッチハイカーな旅の人では見た目の印象からして違いすぎる。
「彼は歪だと言った。ぼくはどう見える?」
「歪だね」
即答。なるほど、きっとそれだ。
「その目で、その表情でぼくを見たからだろう」
きっと自分は色々な事やモノや人と相容れない。いつからだろうか、そう思うようになったのは。
幼少期に親からの愛はきっともらった。幼少期にトラウマも無い。世の中の構造が理解出来ないだとか、生き難いとも考えないし選挙は金儲けだろうし戦争も金儲けだろうしほら世の中にはちゃんと適応できてる。だからいつの頃からかこう思うようになった。
”自分にはどうも何かが欠けている”そう自覚があるからそう見られれば気がつく。どんな些細な仕草でも、人は違和感を覚えれば反応が現れる。でも時に、稀に、偶然に、そう見ない人がいる。
それは無垢な人だったり親切な人だったり悪い人だったり大人だったり子供だったりするのだけれど。
ぼくを世界と、前述の色々な事やモノや人と繋げて見る人。
ぼくはそんな人達が愛おしい。それでもきっと相容れない。わかってる、でも!それでもなお。
この漠然とした不安から一瞬でも、ほんの瞬きでも開放してくれる目を、表情を、言葉をくれた人を、無条件に好きになってしまうのだろう。
だから、ぼくはアキラを死なしてしまいたくなかった。
酷い目にあわせたりなんてしたくなかった。
”触れてから考えろよ”
”やっちゃってから考えようよ”
追憶からの声は二重奏になった。
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