現場系男子にご用心！？
「よく、見てますね」

「そりゃあ、すごく気になっていたからね。里緒奈の笑顔が見たくて毎週工場に行くのが待ち遠しかったんだ。で、意を決して君に話しかけて、で、いまこうやって一緒にいる。夢のようだよ、本当に。・・・だけど」

車は私の知らぬ間に、街の夜景が見える高台へと来ていたみたいだった。
目の前にはキラキラと街が星のように輝いている。
一番よく見える場所で、岡田さんは車を止めた。

とてもベタな展開。
こんなシチュエーションで、なにか甘い言葉を掛けられたら普通ならイチコロである。
私は少し身構えてしまった。

この状況は流されたらマズい。

「いつになったら里緒奈の彼氏になれるのかな？」

ハイブリットカーはやはり静かだ。
エンジンを掛けていても、服の擦れる音までしっかりと聞き取れる。
岡田さんは身を乗り出すようにして、助手席に座る私を見つめた。

車のオーディオのほのかな光が、岡田さんを映し出す。
瞳が微かに揺らめいていた。
熱い眼差しに、身動きが出来なくなってしまう。

「まだ、考えられない？」

「・・・っ、それは・・・」

目を逸らしたいのに、逸らす事が出来ない。
魔法にかかったかのように、身体を動かす事が出来ないのだ。

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