君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨
「じゃあ亜里沙、あたし急いで帰るから!」
あたしは自分の席に駆け寄り、リュックを引っ掴んで教室を飛び出した。
「ちょっと奏!?」
「ばいばーい! また明日ね!」
後ろから聞こえてくる亜里沙の声に返事をしながら、廊下を突っ走る。
実は亜里沙にはまだ、あの時の事は話していないんだ。
凱斗に片想いしてることはずっと前から打ち明けてあるけど、だからこそ、あの日の事は言いたくても我慢してた。
だって正直、自分でも半信半疑だし。
もしも亜里沙に話した後で、ただの聞き間違いだったのが判明したら、それって恥ずかしすぎる!
『歩きながら夢でも見てたの? 奏らしいね』って笑われちゃう。
そんなみっともない夢オチはかんべん願いたい。
でも凱斗の気持ちがハッキリしたら、その時は一番に亜里沙に言うんだ。
あたし達、実は両想いだったよって。
どうか今日こそ、そんな嬉しい報告ができますように!