Blue Moon
少しの間をあけた後。
「そうか。そういうことなら乗るといい。
お嬢さん、ここまでご苦労だったね」
「あ、ありがとうございます」
ペコリと頭を下げてお礼を言う。
すると、その耳元で「やったね、お嬢さん」とネオが囁いた。
そして、何事もなかったかのようにおじいさんと話して、荷馬車の後ろへ向かって行く。
その光景を見ながら、私はというと、左の耳を左手で抑えながらしばらく立ち尽くした。
それからネオの私を呼ぶ声で我に返りネオの後に続いて荷馬車に乗りこんだ。
耳に今までと違う熱が残りつつも、私はそれに気がつかないふりをして、荷馬車の揺れに身を任せた。
「お嬢さん」
「?」
「次の街まで結構かかるんだ。
その間寝るといい。
⋯⋯あんた、数時間しか寝ていないだろ?」
それはなんだか、すべてを見透かされているようだった。