アイドルとわたし





なぜこんなことになったかと言うと。






実はあれからもずっと、中原くんから謝罪のラインがきていた。




でも、さすがにそれだけで許せることではなかったし、既読無視を続けてきた。




智哉くんも心配していたし。






2ヶ月前、街を歩いていたときのことだった。





「真央ちゃん!?」





突然声を掛けられて振り向くと




「中原くん…」





中原くんがそこにいて。





蘇るのはあの恐ろしい記憶。




思い出すだけで震えている自分がいた。






「真央ちゃん、俺あのときは本気でどうかしてた。こんな一言で終わらせられるほどのことじゃないって分かってる。



でも、謝らせて欲しい。




傷つけて、怖い思いさせて、本当にすみませんでした」





「ちょっ、中原くん!みんな見てるよ!」




街中で1人の男性が深々と謝る姿に通りすがる人々は釘付けだ。




これじゃあ、あたしも恥ずかしいけれど中原くんはもっと恥ずかしい。






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