アイドルとわたし






「そんなのどうだっていいよ。



真央ちゃんを俺はどれだけ傷つけたか。




真央ちゃんはこれ以上にキツイ思いをしてきたんだ」





あたしって気が多いのかな。




単純なのかな。





ただ、中原くんのその誠意が嬉しくて





「もう、大丈夫だから。顔あげて?」





あんなに会いたくなかったのに、絶対許す気なんかなかったのに、許してしまったんだ。





「あと一つ言わせて欲しい」




まだ真剣な目をしている中原くん。





じっと見つめられるのは恥ずかしい。





「俺はまだ、真央ちゃんのことが好きだよ」





それは今のあたしには胸が痛い一言だった。





“真央、好きだよ"





好きって言葉を聞くと思い出すあの人の声。





4ヶ月経ってもあたしの心の中にはいつでも智哉くんがいた。






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