アバターの恋
「警察も総力をあげて、石井刑事をバックアップしている事だけは理解してください。中渕が犯人だと言う証拠が一つでもあれば、検察も起訴を取り下げると言ってます。検察も射殺さえしなければ起訴する事はなかったのです」

「そうですか」
磯山は、何かを考えてる。

「保釈はどうなんですか?」

「弁護士が請求すれば。検察も逃亡の危険もありませんので、反対はしないと言ってます。二週間以内に保釈されるでしょう。裁判所が決めることですから、明確には言えません」

磯山は、石井が保釈になると心の中で跳び跳ねたが、顔には出さなかった。

「きのう、弁護士が保釈の請求は出しました」

「早ければ来週には出て来ますよ」

「職場復帰はどうされるのですか?」

「それは、警察庁が決めることで、警視庁は捜査権しかありません」

「分かりました」

「先生は、石井刑事とどういう関係で?」


刑事部長が少し嫌らしさを含めて訊いた。

「彼氏です!」

磯谷はきっぱりと言った。言わなければあれやこれや詮索されて、警察内部で変な噂が先行しかねない。攻撃的な行動に出た。
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