インキャ!
一章

プロローグ

桜がヒラヒラ舞っている。皆、真新しいダボダボの制服を着て、新しい生活にドキドキワクワクしている。
私にとっては、どうでもいい。クラスなんて毛ほども興味がない。
「あんた、何ふてぶてしい顔してんの。せっかくの入学式なんだから、もっとテンション上げなよ。」
と母から、不意に投げかけられた言葉に、私の心臓は忙しくドキドキしている。
「心臓止まるかと思った……。」
私が、ボソッと言った言葉は、母には全く聞こえてなかったようだ。
『入学式が始まりますので新入生の皆さんは、体育館に集まって下さい。』
放送が流れ、一気に皆が体育館になだれ込む。私も、人波に呑まれてしまった。
あぁ、面倒くさい。だから、学校はキライだ。やれ、集団行動だの、恋だの、勉強だの、友情だの……。なんの得になるのだ。
今日は、ずっと前からチェックしていたゲームの発売日なのだ。早く帰りたくてしょうがない。
現代社会風にいうと、私はインキャという分類になるだろう。
だが、私は変わろうとも思わないし、別に変わりたくもない。ゲーム、マンガ、アニメさえあれば何もいらない。それが私の世界の全てだ。
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