29歳、処女。
「雛子、お前はな、男から見たら」



喜多嶋さんが私の服を上から下までさっと見て、確信したように言った。



「ガードが固すぎるんだよな」



またもや予想外の言葉だった。


私はきょとんとして喜多嶋さんを見つめ返す。



「ガードが固いって………どういうことですか?」


「だから、男を寄せ付けない、拒否してる雰囲気があるってことだよ」


「えっ」



そんなつもりはまったくなかったので、驚いてしまう。



べつに、どんどん寄ってきて欲しいとか思っていたわけでもないけど、

拒否しているだなんて、とんでもない。



たしかに、うちは古くさくて厳しい家で。


お母さんは私が小さい頃から、『雛子ちゃん、男はこわいのよ。気を許しちゃダメよ』と、口癖のように言っていたし、

お父さんは『なに? 東京の大学に行くのか? 変な男につかまらないように気をつけるんだぞ!』と泣きそうになりながら言って私を送り出したし、


そんな環境で育ったから、男の人に対して、少し身構えすぎて、引いてしまっているところはあるかもしれないけど。



でも、それよりも、このままじゃいけないという焦りのほうが大きいのに。





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