29歳、処女。
まさか、自分の服装に問題があるせいで、いつまで経ってもヴァージンのままだったなんて。


そんなことはかけらほども思っていなかったので、まじまじとファッションチェックをする。



でも、やっぱり、どこが問題なのか分からない。


ちゃんとスカートをはいているから、ボーイッシュすぎて女に見えない、なんてこともないはずだし。



「………どこがいけないんですか? 教えてください」



色々と考えたすえ、結局、自力で答えを見つけることなんかできなくて、

恥を忍んで喜多嶋さんに訊ねることにした。



「どこってなあ………まず」



喜多嶋さんは値踏みするように私を見たあと、突然、口をつぐんだ。



「俺は机上の空論なんか大嫌いなんだ。口でいくら言ったってしょうがない。理論は実践には勝てないものなんだ」



いきなり難しいことを言い出したので、私はぽかんとして喜多嶋さんを見つめる。



「つまり、明日の朝10時に、A駅の北口に集合、ってことだよ」


「………はい? え、なんで………」


「つべこべ言うな!」



喜多嶋さんは私のおでこに二回目のチョップをくらわせた。



「先輩命令だ。黙って聞け」



こんなに怖い声で高圧的に言われて、逆らえるはずなどなかった。




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