逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

「湊……悪い、夜の予定は全部キャンセルにしてくれ」


 基は片手で自分の目元を覆う。

 おそらくいつもの頭痛だろう。

 白湯を用意しながら、窓の外に目をやった。


「……畏まりました。そうですね。雨が降りそうですし……」


 神尾には、とても、今ここで何があったのだと聞くことはできなかった。

 ただ、沙耶から預かった名刺のことは伝えたほうがいいだろうと、胸元から名刺を取り出し基に差し出す。


 名刺を見て苦しげに眉を寄せる基に気づいたが、気づかないふりをした。

 そして沙耶が秘書室にやってきたときのことを話して聞かせたのである。


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