逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~
「お花……プリン……」
花もプリンも、包装紙にこの近くにある店のシールが貼ってある。
「お見舞いじゃあるまいし……」
ここに来る途中、手ぶらではまずいと思ったのだろうか。
基の坊ちゃんらしい気遣いに、なんだか悲しいような、おかしいような、不思議な気分になった。
花も食べ物も、捨てるのはかわいそうだ。
ガラスのコップに花を挿し、テーブルの上に置く。プリンは冷蔵庫にそのまま仕舞った。
ベットの上に腰を下ろし花を眺める。
テーブルの上に置いた花は、ガーベラの明るい色を基調にした可愛らしいものだった。
適当に選んだのかもしれないが、部屋の中の空気が明るくなる。