逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

「変な人……」


 あんなに酷いことを言っておいて、こんな風に謝りに来るなんて、ある意味勇気があるのかもしれない。


「でも、好きは、ないわ……いくらなんでも……ない」


 どうしてあんなことを言うのだ。そこまで分別のない男なのだろうか。

 沙耶にとって基は、何もかもが自分の想像のさらに上を行く、不可思議な男にしか見えなかった。

 しばらくそうやって、何をする気も起きずぼうっとしていたが、現実がいきなり沙耶を襲う。


「なんだかお腹すいちゃった……」


 考えてみれば、今朝は神尾に喜多島の名刺を返すことで頭がいっぱいで、昨夜からまともに食べていなかったのだ。

 
 一瞬基からの差し入れのプリンを食べようかと思ったが、さすがにおやつで手懐けられるような気がして、慌ててその考えを捨て、キッチンへと向かった。


 こういう時は、冷蔵庫の中を一掃できるミネストローネに限る。

 野菜室に残っているキャベツやセロリ、ニンジンの切れ端、ズッキーニの端っこをかたっぱしから刻んでいく。



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