逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

「なんで、そんなこと……」


 いや、自分が謝罪を受け入れなかったせいだとはわかっている。だが基がここまでするとは、想像すらしていなかったのだ。


 沙耶は基に近づき、濡れないよう頭の上に傘を差し出した。

 今更傘をさしたところでびしょ濡れには違いないが、そうせずにはいられなかったのだ。


「駄目だ、沙耶。沙耶が濡れる……」


 だが基は慌てたように傘を押し返して来る。

 その一瞬、触れ合った手が氷のように冷たくて、沙耶は驚愕した。


 彼はここにどれだけ立っていたのだろう。

 十分、十五分ではこんなに冷たくはならないはずだ。
 一時間?
 いや、もっとかもしれない。

 今更顔を見上げれば、基の顔は紙のように真っ白で、唇は色を失っていた。



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