逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

 恥ずかしさのあまり、一瞬手が止まってしまった。
 するとそれまでされるがままになっていた基が、フッと笑う。


「笑わないで」


 沙耶は気まずさを勢いで誤魔化すように、シャツを脱がせ、それからタオルで基の髪や体をゴシゴシと拭いた。


 とにかく体が大きいので、美術館の石膏像か、水浸しの虎かライオンでも拭いているような気分になる。

 そうやって力任せに拭いていたら、お湯が溜まったと、ガイダンスが聞こえてきた。


「立てる?」
「……ああ」


 上半身を支えられながら立ち上がる基の体はまだ細かく震えていたが、なんとかバスルームまで向かうことが出来た。

 体にぴったりとあつらえたスーツにはベルトが必要ないらしい。

 さすがにベルトを外すのは無理なのでホッとした。



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