逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

 もしかして嫌がらせのつもりなのだろうかと、唖然としながら、ボウルとスプーンを流しに置き、そっとベッドに近づいた。

 だが何度見ても、基は沙耶の枕を抱え、うつ伏せになって目を閉じている。ぐっすりだ。

 狸寝入りではなさそうである。


「あの……起きて」


 一応ここは沙耶の部屋で、沙耶のベッドなのである。
 部屋に入れたのはこれ以上ないくらいのずぶ濡れ、濡れ鼠だったからで、基をここに泊めてやる気は微塵もないのだ。

 だが何度呼びかけても、枕をぎゅっと抱きしめたまま基はピクリとも動かない。

 さすがに布団を剥いで基を叩き起こすこともできない。


(だって裸かもしれないし……。)


 脳裏に風呂上がりのバスタオルを巻いただけの基の姿が蘇った。
 あれはいくらなんでも刺激が強すぎる。


「はぁ……仕方ない人。白雪姫に住居侵入された七人の小人も、こんな気分だったのかな……ふふっ」



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