逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

 そう考えるとなんとなくしっくりくるし、笑えてきた。


 綺麗で、ある意味純粋で、ワガママで。
 けれど人を惹きつける魅力と、放っておけない何かがある、特別な人。


 御曹司には御曹司なりの苦労はあるだろうが、自分のように、おっかなびっくり回りこむのではなく、いきなり真正面から突撃してくる。
 人との距離の縮め方が、自分に自信がある人間独特なのだ。


「そう。あなたは王子様じゃなくて、お姫様ね。眠れるお姫様……」


 基を起こすことは諦めることにした。


 沙耶はそっと立ち上がり、新しいボールにスープを入れ、テーブルの上にランチョンマットを乗せ、スープを口に運ぶ。

 適当に作った割にはやはり美味しくできて、やっと気分が落ちついた。


 テーブルの上のガーベラ。
 カーテンの向こうから雨の音。
 そしてぐっすりと眠る基の寝息。


 数時間前の土砂降りよりはずっと優しい音に、部屋は包まれていた。



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