逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~
頭をかしげると、平島が苦虫をかみつぶしたような顔で肩をすくめる。
「いやさ、ここの常務……エール化粧品の御曹司なんだけどね。『軽薄な女好き』って有名だからね。女と見たら見境なく手を出すって評判なんだよ。沙耶、あんたはきれいだし、変なことされたんじゃないかってね。それが心配なんだよ」
「有名、なんですか……」
「まあね」
そして雑然と散らかっているデスクから、ファイルを取り出しすごい勢いでめくり始める。
「ああ、そうだ。エール化粧品常務執行役員、不二基。二十九歳。今まで泣かした女は数知れず、世間じゃとんだプレイボーイで通ってるよ」
「プレイボーイ……」
なかなか渋い呼び名だが、確かに不二は華やかで、モテて当然の男だった。
だが彼が相手にするのは、私のような女であるはずがない。平島がいくらきれいと言ってくれても、沙耶は本気に取ることはなかった。