逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~
「何もされてません。大丈夫です。ただもし私のせいであそこのお仕事がなくなってしまうようなら、クビにしたとおっしゃってください。すぐに辞めますので」
「バカ言うんじゃないよ」
平島は持っていたファイルをデスクに叩きつける。
「たかが軽薄御曹司のせいで、あんたを失うわけにはいかないよ、そんなこと言ってくるなら、こっちからやめてやるさ」
てやんでぇと言わんばかりの平島の態度に目を丸くする沙耶だったが、
「おばあちゃん、ボクもそう思う!」
事務所のドアを開けてひょっこりと顔を出したのは、平島の孫である潤だった。
「あら、潤。どうしたんだい、平日に珍しい。ってその前に、おばあちゃんはやめな。老け込むでしょうが」
「あ、そうだった。ごめんね、伊織さん。大阪出張帰りのお土産持ってきたんだよ。和久傳(わくでん)の西湖。京都土産の定番。好きでしょ。沙耶ちゃんも一緒に食べようよ。お茶淹れてー」
「え、あ、はい。ありがとうございます。お茶いれますね」