逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

(亡くなったご主人のことを、今でもとても大事に思っていらっしゃるんだ……。素敵だな……。)


「そうなんですか……でもそのお気持ち、わかります。私にもそういう場所があるので」


 基にも話したが、沙耶にとって幸せの象徴は、鎌倉の別荘だった。

 誕生日や、クリスマス。なにかイベントがあるときは、いつもあの別荘だった。

 とっくの昔に売られて、もしかしたら別荘という形すら残っていないような気がしたが、それでも沙耶の心の中では、今でもあの別荘が沙耶の大事なお城だった。


「沙耶さん……お若いのに、何かご苦労があるみたいね」


 まるで孫を見るような目で見られて、沙耶は苦笑した。



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