逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

 その瞬間、激しい音を立てて常務室のドアが開いた。


「もといっ!」


 乱入してきたのは、年の頃は六十代、端正な雰囲気のスーツ姿の男性だった。

 沙耶は慌てて立ち上がる。


(あの人は……どこかで見たことがあるけど……。)


「……父さん?」


 基はソファーから上半身を起こし、面倒くさそうに髪をかきあげた。


(父さんって……社長!?)



 そう、常務室に入ってきたのは株式会社エール化粧品の代表取締役であり、基の父である不二広隆(ふじひろたか)、その人だったのだ。


 基と顔立ちはそれほど似ていないが、体格がよく、声が似ている。確かに基との血の繋がりを感じて、沙耶は社長から目が離せなくなる。


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