逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~
「最初から、ずっと、一緒に踊った時から、ずっと、関わっちゃダメだって、わかってたのに、どうしても、見ないふり、出来なくてっ……」
窓拭きをしながら歌を聞かれた時。
エンターテイナーを踊って、心が一つになったような高揚感を覚えた時。
お互いの身分も環境の差も関係なしに、本気で喧嘩をして、そして、仲直りをした時。
沙耶は基を無視することはできなかった。
魂を絞り出すような、嗚咽と悲しみの叫び声が、基の前で沙耶を正直にさせた。
沙耶は肩越しに基を振り返る。
東京の街が一望できる、磨き上げられたエールビルの窓に、自分の姿が映る。
私は私。この仕事に誇りを持っている。
だけど周囲はそう思わない。
(好きって、言えない。やっぱり言えない……! このままでは基がすべてを失ってしまう!)