逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~
ノックをすると、ドアの向こうから
「どうぞ」
と、男性の声がする。
「失礼します」
ドアを開けてカードを入れ、息が止まりそうになった。
目の前に軽薄御曹司、不二基が立っていたからだ。
「ふふっ、見ろ、湊。鳩が豆鉄砲を食ったような顔とはこういうのを言うんだな」
「……はぁ」
ケラケラと楽しそうに笑う基の隣には、もう一人男性がいた。
シルバーのメガネをかけた黒髪の涼しげな雰囲気の男性である。
基が太陽なら彼は月、そんな雰囲気の男性だった。
だが彼は基ほどこの場を楽しんでいるわけではないようだ。難しい表情で沙耶を見つめている。