逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

「すまないなんて、そんな……」


 沙耶は首を振り、それから基を見上げる。


「十分よ、本当にもう十分。もう私のためにこんなにお金を使ったりしないで」
「沙耶……本当に君は無欲なんだな。だが俺は、もっともっと沙耶に、何かをしたいんだ」


 そして基はゆっくりと頰を傾け、沙耶の頰に口付ける。


「愛してるよ、沙耶。どうしたら俺の気持ちが伝わるんだろうって、一分一秒が惜しいくらい、焦ってる……」


 基の思いに沙耶は胸を打たれながら、彼の背中に腕を回した。


「基。一緒にいてくれるだけでいいの。私のことを思ってくれる基の気持ちが何よりも嬉しいから……」


 頰を押し付けると、基の心臓の音がドクン、ドクンと伝わってくる。

 ここに自分を愛してくれる存在がいると思うと、沙耶は何者にも変えがたい、勇気をもらえるような気がした。


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