逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

 着ているものをすべて脱ぎ捨てて、裸で抱き合うまではすぐだった。


 ベッドの上でもつれるように抱き合い、貪るように唇を重ねる。

 基の経験を重ねた余裕も、沙耶の練習も、そこにはなく、ただお互いを欲するだけの、恋と、激しい情欲に身を任せて、愛おしさにじっとしていることはできず、唇は「好き」とお互いの名前の形にしか動かない。


「さやっ……」


 歓喜が形を変えて基を突き動かす。
 虹色の風が沙耶を包み、基の背中を抱きしめる。


(すき、だいすき……もとい、だいすき……。)


 体を貫く痛みもまた沙耶の喜びだった。

 何度も背筋にゾクゾクと喜びが走り、基を求めてやまない己の気持ちが、許されていることに、涙が出るほど嬉しかった。




「沙耶、俺を好きだって言って……」



 基は己の腕枕で眠る沙耶を見つめながら、頰にかかる髪を指で払う。


「好き……愛してる……」


 ぴったりと重なった裸から届く心臓の音に、沙耶は目を閉じ耳をすませる。
 
 
「基……あなたの全てを、愛してる……」


 それはまぎれもない、沙耶の真実の思いだった。



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