逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~
窓を拭きながら楽しそうに歌を歌っていた。
とてもきれいな声だった。
発音も美しかった。
その一瞬、激しい頭痛を忘れて聞き惚れた。
もっと聴きたくて、声をかけた自分を見て飛び上がらんばかりに驚いていたが、動揺しつつも白湯を出すくらい機転がきいていた。
何かを話すと、食い入るように、大きな澄んだ瞳で真正面から見つめてきた。
そしてはっきりと自分の意見を言った。
嫌だと言った。それは私の仕事ではないと……。
あいつがキラキラして見えるのは一体なぜだろう。
ダボダボの掃除婦の作業着からは推測するしかないが、背筋が伸びているからだろうか、身のこなしが優雅に見えた。
「なぁ、湊……」
「おやめ下さい。遊びにしても、いくらなんでも住む世界が違いすぎます。彼女を不幸にしますよ」