逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

「やはりどうしてもダメなのだろうか……」


(野蛮な狼がションボリしている……。)


 激しく気落ちし、うなだれる基を見て、それまでけんもほろろな態度を取り続けていた沙耶は、なんだか自分が悪いような気がしてきた。


(いや、でも、私は悪くないわ。どうして私がこの人の気まぐれに付き合ってあげなければならないの。)



 その瞬間、きっちりと巻いていたはずの三角巾が、沙耶の髪からするりと滑り落ちた。


「あっ!」


 慌てて窓に駆け寄り手を伸ばしたが、三角巾は風に乗って、ふわりと窓の外に飛んで行ってしまった。


 あれは会社の備品だから、亡くした場合は社長に届け出を出さなければいけないなと沙耶が考えた矢先のことである。
 背後から基の声がした。


「……取ってくる」
「えっ!?」

 
 振り返ると、基が常務室から飛び出していく背中が少しだけ見えた。


「えっ、う、嘘でしょ!?」



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