続・俺と結婚しろよ!
「多恵とは長い付き合いだ。
もう、十年も。
それでもあいつとは友達だ。
例え慎吾と結婚していなくても」
賢ちゃんはあたしの髪に触れたまま、少しだけ笑う。
その甘い笑顔にやられてしまいそう。
「なぁ、咲良?
どうしたら安心してくれるか?」
その声が心地よくて、聞き入ってしまう。
「どうしたら、 俺がどのくらい好きか、分かってくれるか?」
あたしの馬鹿。
賢ちゃんの気持ちなんて、とっくの昔から知っているはずなのに。
例え多恵さんが綺麗で賢ちゃんと親しくても、賢ちゃんの奥さんはあたしなのに。
「……ぎゅっとして?」
あたしは賢ちゃんに言う。
賢ちゃんは少し驚いたようにあたしを見て……
そして、すごくすごく優しく抱きしめてくれた。