君がくれたもの

奇跡と愛



「兄貴は死んでないです。
今からでも会いに行きましょう。」

そう言った大輝はおばさんに目配せをすると
おばさんの愛車のボックスカーを出してくれた。

8人乗り。

助手席には冷夏さん、

その後ろには私と大輝と私は怜奈ちゃんを抱っこして、大輝は直樹くんを抱っこして、

その後ろは言わずとも優香と佐倉。

病院に着くと、

すぐに向かった直人さんの病室。

直人さんはまだ眠っていて直人さんの傍には大翔。

私達を見て、

「?!美麗?!」

声を上げた。

「…美麗の姉の冷夏です。」

そう言った冷夏さんに、

「あ、直人の彼女さんですか?」

「…はい。」

大翔の問いかけに寂しそうに笑った冷夏さん。

目を固く閉じる直人さんを見て涙を流した冷夏さん。

ボロボロ、ボロボロと綺麗な涙を流した。

そして、

「…遅くなって、ごめんね。

直人。」

泣きながらゆっくりと直人さんにキスを落とした。

私の腕の中にいる怜奈ちゃんは、

「ぱぁぱぁ?」

と私の方を見ながら首を傾げてきて、

私は笑って、

「そうだよ、怜奈ちゃんと直樹くんのパパだよ。」

そう言うと、
ぱぁぁっと顔を輝やかした怜奈ちゃんと直樹くんは私と大輝の腕から離れて、

直人さんの元へと向かった。


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