『N』ー忍びで候うー
「顔が赤いようだ。」

俯いた視界には一花の足元しか写っていない。


緊急時で助けてくれた、ただそれだけなのに意識してしまう。

まだ気持ちの整理ができていないのに、こんな急に会うなんて。。


非常事態だとしても、それでもあたしには初めてのキ、、


会えない方がよかった?
会えると思ったからここへ来た?

どっちつかずの想いが揺れる。


知らない方が変に意識しなくて済んだのに。
知ってしまったから、妙に意識してしまって、、

あたしは一歩下がって首を振った。
「大丈夫、ずび、ただの花粉症だから。」
「医者に行って診てもらえ。」



ぴとっ


額にひやりと



手のひらが触れた。


「、、ふぅ、少し熱いな。」

足はもう半歩、じりっと後ずさっていた。
額に触れていた手がぴくっとした気がした。
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