ばか、嫌い。でもやっぱ好き。
連れてこられたのは大きな墓の前。墓石には沢山の名前が書かれている。


達也「葵。ついたぞ。」


葵は何も言わずに墓の前に行ってしゃがんだ。


葵「……おかぁ…さん……。」


かすかに聞こえた葵の声。少し震えていた。

達也はそっと葵に近づき頭を撫でる。


葵「達也も……強がらなくてもいいんじゃない?」

達也「は、はぁ?」

葵「だって、達也も……泣いてるじゃん。」


確かに泣いている達也。

葵は達也もと言った。つまり、葵は強がっている。ただその事だけがわかった。

達也が泣く理由はわからないが桜花の全員が涙ぐんでいたから何かしら関わりがあったのかと思う。


葵「やっぱり先に来てたね。」


今までに無いくらいに葵は落ち着いて言った。


達也「だな。」


墓の前には薔薇の花束が置いてあった。


葵「……陽花(ぼそっ)」
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