その結婚、ちょっと待った!




温泉から上がり夕食の時間になると社長の乾杯から宴会が始まった。


まぁ二次会みたいな感じなんだけど。


カラオケを歌ったり皆は盛り上がっていた。


私もお酒を沢山飲んで、ちょっと飲み過ぎたから外に出ることにした。


すると電話をしていたのか片手にスマホを持った大和と鉢合わせてしまった。


私は気まずくて顔を俯いた。


大和は何も言わずに通り過ぎ、私が顔を上げようとすると後から私の頭に大和が首に掛けていたタオルを被せた。


「髪が濡れてるから風邪引くぞ!」


そう言って旅館の中に入っていき、大和の優しさにまた胸が苦しくなった。


私を無視して通り過ぎてくれた方がまだ良かった。


余計に引きずってしまいそうになる。


大和の馬鹿っ…。


私は少し外の風に当たり皆の所へ戻った。


それから私は飲みまくり、真尋や皆が飲み過ぎだから止めなよと言ったが飲み続けて途中で意識がなくなった。


「大和、桃華が酔っ払ってるから部屋まで運んで!」


「何やってんだよ!」


「あんたが悪いんでしょ!」


フワフワした意識の中で話し声が聞こえたような気がしたが何を言ってるかはわからない。


すると誰かが私を抱き抱えたような気がした。


何となく大和の腕のような気がしてこれは夢なのかもわからず、だけど夢ならいいやと思い夢の中の大和の胸に顔をすり寄せた。


すると大和は"素直になれよバカ"と言ったような気がしたが、私の意識はなく気づいた時は朝だった。


「…ったぁ…」


飲み過ぎたのか完全に二日酔いで頭が痛かった。


それに記憶がないし…


布団に寝てるから自分で戻ってきたのかな?


私は冷蔵庫から水を取り出してゴクゴクと飲んだ。


痛み止めの薬も飲み、トイレに行ったあとに温泉に浸かることにした。




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