『それは、大人の事情。』【完】
それから理央ちゃんと蓮の写真が一番よく見える席に座り、お茶をした。私は新婚の佑月の様子を聞こうとしたんだけど、理央ちゃんは蓮の写真を眺め何か言いたげにモジモジしてる。
「梢恵さんには言っちゃおうかな~」
「えっ?」
「お姉ちゃんには言わないで下さいね。実は私、昨日、蓮君に頼まれてこの写真の現像手伝ったんですけど……その時に、思い切って言っちゃったんです」
「言ったって、何を?」
「その……蓮君が好きだから付き合って欲しいって」
「あっ……」
蓮を忘れる決心はついていた。けど、いきなりそんな事言われたら……
「そう……それで、彼はなんだって?」
「うん、それがね、少し考えさせてくれって。そう言われた時は落ち込んだけど、断られたワケじゃないし……期待してもいいのかな~って」
理央ちゃんが蓮の事を好きだってのは分かってたから、いつかこういう流れになるだろうと想像はしてた。蓮だってそう。理央ちゃんの事を意識してるはず。
だからこれは自然な流れ。始めからこうなるべきだったんだ。蓮には私なんかより、理央ちゃんの方がお似合いだよね。
「彼も突然だったから驚いたんじゃない? あの子も理央ちゃんの事気になってると思うよ」
「ホントですか? 梢恵さんにそう言ってもらえると心強いです」
「大丈夫だから……きっと、上手くいくよ」
若くはつらつとした理央ちゃんの笑顔が私には眩し過ぎて……ソッと目を伏せた。