柴犬~相澤くんの物語り
 それからおれたちは、夜道を歩き続けた。


 なるべく人目につかない道を選んでいると河原にでて、堤防沿いをどんどん行くと橋の下に段ボールと木の板を立てかけた小さな小屋みたいなのがあった。

 誰もいないみたいだから、そこをおれたちの新しい住みかにすることにした。

「ここなら風も防げるし寒くないだろ」

 「ここが私達の新居になるんですね。まるで新婚みたいじゃないですか」

 「はあっ? おれは雄だと何度言ったら……とにかくそんなのんきなこと言ってる場合じゃねえよ。腹へった」

 「私のでよければいかがですか?」

 首にかけたカバンを下ろしドッグフードを取り出した。

 「え? わあ、気がきくな。おれ、夕方飛び出してきたきりで腹ぺこだったんだ。じゃあ一緒に食おう」

 「喜んで頂けて嬉しいです。私の事は気にしなくていいですから先にどうぞ」

 「だめ。食える時にちゃんと食っとかないと。明日から自分たちで食料探しに行かなくちゃいけないんだから」

 「す、すごいなぁ…相澤君って本当にしっかりしてるんですねぇ」

 「まあな…って、自慢するほどのことじゃねえだろ? わかるだろ、そんくらい!」




 やっぱりこいつ、ネジがどっか飛んでる……。


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