柴犬~相澤くんの物語り
「こいつなんだ! クリスマスの日におれたちの食料を!」
そいつは、唸り声をあげ高宮さんの首に咬みつくと、彼をおれから引き離すように振り飛ばした。
おれとそいつの体格差は、まるで大人と子供みたいで、どう考えても勝ち目はない。でもまた前みたいに食べ物を奪われ悔しい思いをするのはもうたくさんだ。
おれは、牙を剥き威嚇するように吠えた。
あいつが身構え飛び掛かろうとした時、投げ飛ばされた高宮さんが再び背後からそいつにのしかかる。
怒った黒犬が矛先を変え、今度は高宮さんに襲いかかった。
けんかなんて、生まれてから一度もしたことがないだろう彼が泥にまみれ傷だらけになりながら必死で闘っているのを、しばらく呆然と見ていた。
お互い牙を向き唸り声をあげながら地面を転がる。
ガブリと相手に咬みつかれた彼を見てようやく我に返り、慌てて食料を隠すと黒犬めがけ突進し、少しでもヤツの動きを封じようと後ろ足にかじりついた。
おれを振り落とそうと足を動かす黒犬に何度も地面に叩きつけながらも必死で食らい付いていた。
「相澤君、バカな事してないで早く逃げなさい!」
高宮さんが叫ぶ。
黒犬がおれを振りほどこうと向きを変えようとした瞬間、高宮さんがヤツの鼻先に咬みついた。それがよほどこたえたのか、ギャン!と大声で鳴いたそいつが、ついに諦め退散していった。
そいつは、唸り声をあげ高宮さんの首に咬みつくと、彼をおれから引き離すように振り飛ばした。
おれとそいつの体格差は、まるで大人と子供みたいで、どう考えても勝ち目はない。でもまた前みたいに食べ物を奪われ悔しい思いをするのはもうたくさんだ。
おれは、牙を剥き威嚇するように吠えた。
あいつが身構え飛び掛かろうとした時、投げ飛ばされた高宮さんが再び背後からそいつにのしかかる。
怒った黒犬が矛先を変え、今度は高宮さんに襲いかかった。
けんかなんて、生まれてから一度もしたことがないだろう彼が泥にまみれ傷だらけになりながら必死で闘っているのを、しばらく呆然と見ていた。
お互い牙を向き唸り声をあげながら地面を転がる。
ガブリと相手に咬みつかれた彼を見てようやく我に返り、慌てて食料を隠すと黒犬めがけ突進し、少しでもヤツの動きを封じようと後ろ足にかじりついた。
おれを振り落とそうと足を動かす黒犬に何度も地面に叩きつけながらも必死で食らい付いていた。
「相澤君、バカな事してないで早く逃げなさい!」
高宮さんが叫ぶ。
黒犬がおれを振りほどこうと向きを変えようとした瞬間、高宮さんがヤツの鼻先に咬みついた。それがよほどこたえたのか、ギャン!と大声で鳴いたそいつが、ついに諦め退散していった。