柴犬~相澤くんの物語り
 「こうた、家に帰ろう」


 ショーコさんの優しい声がする。


 助かったんだ、死ななくてすんだんだ。

 でも次の瞬間、ハッと我に返る。


 あっ、だけど高宮さんは……?


 振り返ると、とても優しい顔で微笑んでいる高宮さんと目が合う。

 「高宮さん……」

 「良かった……本当に良かったね…」

 彼がシッポを振りながらにこにこしてる。



 「高宮さん……? 一緒に帰ろう」

 「それは……出来ません…」

 「えっ? なんで?」

 戸惑うおれに

 「よかったな、うちにもどれるよ。さあ、おいで」

 職員の男が、屈み込み檻の中のおれに手を伸ばしてきた。


 高宮さんは?

 彼はどうなるんだ?


 頭が混乱し、おれはあとずさる。
 
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